海を越えた三ヶ日みかん ドライフルーツ誕生秘話

(株式会社 ジャパン・ファームプロダクツ監修)

当商品は、日本とカンボジアの繋がりによって、約2年の歳月をかけて商品化へと結びつけることができました。

開発時に苦労した点、難しかった点

房タイプのドライみかんは、そのまま乾燥すると維管束(内側の白い筋部分)が固くなり、それが舌ざわりの悪さや苦味につながってしまいます。そのため、スーパーなどで見かける房タイプのドライみかんは、砂糖を使用してシロップで煮詰めるなどを行い、柔らかくした商品がほとんどです。

私たちは、固さや苦味の原因となる維管束部分を、ひと房ひと房、全て丁寧な手作業で取り除いています。それを、じっくりと低温長時間で乾燥させることで『三ヶ日みかん』の本来の甘さや旨みを、砂糖も添加物も使わず、素材そのまま味わっていただけるドライフルーツを開発しました。

乾燥温度や時間の細かな試行錯誤もさることながら、乾燥までの工程にも拘り、この商品を開発することができました。

サンプル製造〜商品化に至るまでのエピソード

私たちは、最初は輪切りタイプで商品開発を進めていました。しかし、輪切りでは三ヶ日みかん(品種:青島温州)の良さを引き出すことができませんでした。

原料として使用する三ヶ日みかんは、産地の持つ貯蔵技術によって酸味のカドがとれて、まろやかさを演出してくれているのに対して、輪切りタイプにすると、果肉部分が必要以上にパリパリとしてせっかくの旨みも飛んでしまいました。表皮の苦味も加わり、青島温州のまろやかさを輪切りタイプの無添加ドライみかんで表現することが難しいと判断しました。それ故、房タイプでの無添加ドライみかんへの挑戦となりました。

ただ、房で乾燥させた時の問題は、房の大きさにより乾燥度合いにバラ付きが出てしまうということです。私たちは、乾燥後にひと房ずつ目視と触感によるチェックを行い、乾燥が足りない房を追加で乾燥することで、品質を安定化させています。さらにその後に、水分活性値を測定して乾燥度合の最終チェックを行っています。

しかし、維管束部分を全て除去する工程や、最終確認までの丁寧な作業を全て日本国内で行おうとすると、とんでもない価格の商品になってしまいます。そんな時に、目を向けたのが、農業生産・農産加工を通して弊社が農村開発を行っている東南アジアの途上国のカンボジアでした。

カンボジアは内戦からの復興を遂げて近年急成長をしていますが、農村部では依然とBOP層といわれる低所得者が目立ちます。それらの格差の問題は、地方での農業生産業と農産加工業が成り立たずに収入が安定せず、少ないことが起因しています。

現地では、熱帯と言えども果物が収穫できる時期は限られています。また、産業がまだ不安定なカンボジアでは、加工場が年間を通して稼働することが難しく、農村部の加工場が稼働していない時期は周辺の人たちの収入がない状態になってしまいます。私たちは、当時プノンペン近郊にあった自社の試験加工場でこの無添加ドライみかんを開発しました。その製造工程と技術を、バッタンバン州という農村地域にある現地の農産加工場に移設することを決めて、現地加工場との連携を始めました。

現在、技術指導も終えて、カンボジアのバッタンバンという地域で、この三ヶ日みかんを通して地方の方々の働く場所を生み出しています。最初は、見たこともない三ヶ日みかんに新鮮味を覚えていただきながらも、今では慣れた手つきで毎年丁寧なモノづくりに励んでいます。加工場自体も国際的な食品安全の規格であるISO22000を取得するに至りました。

また、こういった海外への物流においてはCO2排出量に関するご質問などを受けることもございます。私たちは輸送においても地球環境への負荷削減を意識して、当初から船舶輸送を主体に実施いたしました。通常、新商品の開発は少量からスタートするため、国を跨いだ取り組みや商品導入においては航空便を主体にスタートします。新たな取り組みでも、地球に負荷をかけない仕組みを心がけています。船舶の貨物CO2排出量は、航空輸送1.46kg-CO2/トンキロに対して、船舶は0.04kg-CO2/トンキロと輸送手段の中でも鉄道に次ぐCO2排出量の少なさです。1回の航空輸送で排出されるCO2排出量は、36.5回分の船舶輸送に該当します。(※)

※参照:運輸省 運輸部門における現在までの排出量及び関連データ

https://www.env.go.jp/content/900445318.pdf

私たちは、途上国カンボジアとのモノづくり連携の物流を船舶主体にすることで、日本国内のトラック輸送で「東京から鹿児島間ほどのCO2排出量」に抑えて、実施をしています。

ドライフルーツに関する豆知識

口に入れて食べていただくと、濃縮した三ヶ日みかんの味わいと旨みが一気に広がります。生果のみかんが食べられない時期にも、三ヶ日みかんの素材そのままの味を唯一味わっていただける商品と思っています。

低温長時間乾燥の為に、栄養面でも三ヶ日みかんの良さを凝縮しました。

食物繊維、βカロテン、ビタミンB1、葉酸、ビタミンC、カリウムが、豊富に含まれたままであることが分析値でも証明されました。また、三ヶ日みかんの機能性として謳われているβ-クリプトキサンチンについては、当無添加ドライ三ヶ日みかん100gあたり、11400μgと、凝縮することに成功している商品です。

この無添加ドライ三ヶ日みかんは、保存料も一切使用していない為に、半分生果のように捉えていただけると有難いです。品質を維持する為に、資材等にも気を配っておりますが、直射日光や高温多湿を避けて、冷暗所で保管いただきますよう、お願い申し上げます。

また、ご自宅では開封後はチャックを閉めて冷蔵庫で保管をして、2週間以内に食べていただくことをお勧めしております。

大切なお子様の健康的なおやつに、トレッキングやレジャーなどの友人と食べる休息のひと時に、ヨーグルトにひと晩つけてヘルシーな朝食に、サラダへの彩りとしてトッピングに、様々な場面で、この無添加ドライ三ケ日みかんが登場することを祈っております。